バレーボールで発生しやすい外傷や障害

バレーボールで
発生しやすい外傷や障害

跳躍や瞬発性の高い動作を続けるバレーボールは下肢(股関節~足部)のケガが最も多いですが、スパイク時やレシーブ時など体幹から腕にかけ捻じれる力とボールに力を加える・ボールの衝撃を吸収し抑えるなど、肩や腰に過度な負荷がかかるフォームのため、肩から背部・腰部の発生頻度も少なくありません。
特に多くみられる外傷や障害についてご紹介いたします。

足部の靭帯損傷

スポーツでも最も多く身近なのは足関節靱帯損傷です。
中でも最も多い損傷は「外側側副靱帯損傷」ですが、足関節には他にも損傷しやすい靱帯があり、どこの損傷かで治療方法も固定の仕方も異なります。

突き指

手でボールをコントロールするため、バレーボール選手の突き指は多く、軽度なものから重症度の高いものまで多くみられます。ブロックやスパイクを打つ前衛選手に多い傾向があり、指の関節・筋肉・靭帯に炎症をきたします。
球技ではどのスポーツにも多くみられる疾患の一つです。

突き指には、損傷度により重症度が異なります。

  • ①腱や関節包などの軟部組織を部分的に痛める
  • ②腱の部分または完全断裂
  • ③腱が付着する骨の骨折(剥離骨折)などがあげられます。

受傷した際、過度に指を引っ張ったり、放置して繰り返しケガをしてしまうと、指の変形や可動域制限をきたしやすいため、その場で判断せず、医療機関の受診がおすすめです。

当院の診察・処置

レントゲン撮影での骨折の有無を確認後、必要であれば包帯またはテーピングなどによる固定を行います。
患者さん自身でもテーピングを行えるよう指導も行うため、再発防止にも効果的です。

肩関節障害

バレーボールでみられる肩関節障害は、肩関節に過度な負担がかかり続けること(オーバーユース)で生じます。特に、アタック動作は身長よりはるかに高い打点からボールに力を伝える動作です。空中でボールに衝撃を加える際に、肩関節には過度の負担がかかり痛めやすいため、野球などと同様に多い疾患と言えます。

肩関節は、体の構造上どの関節よりも可動範囲が広く、骨同士の安定性よりも筋肉・靭帯・関節包などの軟部組織による構造に依存している部位となります。
肩周囲や背部・腹部の筋バランスが悪くなり、硬くなってしまうため、肩関節に最も近い筋肉、主に回旋筋腱板(ローテーターカフとも呼ばれる)という4つの筋肉が(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)損傷するケースが多いです。

もともと肩の緩い(ルーズショルダー)体質の方は、肩に衝撃を与えたり、繰り返し負担をかけて動かした際に、肩がズレたような感覚や痛みを伴う症状が、日常でみられるようになります。

当院の診察・処置

レントゲン撮影で肩関節の位置関係を確認し、骨への異常がないか確認します。
診察時に、現在の肩の動きや肩の痛みに影響を与えている原因を探ります。

リハビリテーション

肩関節の状態を把握したうえで、物理療法・運動療法により痛みの改善・可動域の改善・個人に合わせたストレッチやエクササイズ指導を行います。

腰痛

バレーボールでの腰痛発生率も高く、さまざま症状や原因がみられます。
姿勢からの主な要因は、ジャンプの反復動作やレシーブ時の低い構えなどがあげられます。
アタック時などの腰を反らし片側に捻りを加えるフォームも例外ではありません。
独特な姿勢が多く、長時間反復して動くため、腰部への負担はかなり高くなります。

また、腰の骨や筋肉・靭帯は、上半身の動きや下半身の動きからも影響を受けるため、腰だけが原因とは限りません。さまざまな原因想定して治療することが大切となってきます。

正しいフォームで動作を行うことは、腰痛の予防にはなりますが、試合時間が長引いたり、疲労が蓄積すると、足首や膝、股関節などのバネになる部分の柔軟性が低下したり、筋の緊張が取れず、腰部以外の関節から衝撃を受け、腰部の関節に炎症をきたす症例もあります。
さらに体の柔軟性が低下すると、ジャンプ時など腰の伸展が出にくくなったり、肩甲骨の動きが低下したり、レシーブの姿勢が維持しにくくなったりなど、パフォーマンスの低下を引き起こします。骨や筋肉などが未発達の子供たちにとっては、腰椎分離症やすべり症などの選手生命にかかわる疾患をかかえる可能性があるため、体の使い方を知ることと、正しいアフターケアの方法を知ることも重要です。

当院での診察

腰部の疾患に対して、原因を追究し、腰部と腰部以外からの影響を見極めます。
痛みが強い場合や、炎症症状が強い場合は、患部を固定・安静にする場合もありますが、AKA(エーケーエー)療法など、ソフトなタッチによる施術で、患者様に施術時の痛みをださず、負担をかけない治療法を行うことも可能です。(AKA治療参考)
痛みの原因を究明し、患者様に合わせた治療法でリハビリテーションを行います。再発防止のためのエクササイズやストレッチなどの指導も行い、日常的にケアができるところまでしっかりサポートしています。

膝痛

ダイナミックな跳躍やサイドへの反復動作など瞬発的な動きは、膝関節の柔軟性や筋力が大きく影響しています。
腰部や肩関節の痛み同様、膝関節や周囲の筋肉に過度な負担が繰り返しかかること(オーバーユース)で生じたり、膝周囲の筋緊張が強くなりすぎること、柔軟性が低下することで、あらゆる膝痛が発生します。痛みの場所や症状により、損傷している組織が異なるため、治療方法や、ケアの仕方も変わっていきます。

ジャンパー膝・オスグッド病

膝蓋靭帯炎とも呼ばれ、ジャンプ着地時、ダッシュ&ストップなどの瞬発的な動作の繰り返しにより、膝蓋靭帯に炎症をきたす疾患です。

膝関節靭帯損傷・半月板損傷

膝関節の間で圧を分散するクッション性や関節の安定性の役割を果たす、内外・外側半月板や前十字靭帯・後十字靭帯・側副靭帯の損傷も膝疾患の代表です。
膝関節の特徴は、肩関節などと比べ、自由な可動性が少なく安定感を重視した関節です。
そのため、股関節や足関節の動きに対して膝関節が制限をかける働きも有するため、膝関節の制限できる範囲を超えたり、繰り返し負担をかけ続けると半月板・靭帯損傷をきたします。

重度なものに関しては外科的手術の対象にもなるため、甘くみてはいけません。
当院でも、膝に悩みを抱えた患者様が多く来院します。

リハビリテーション

損傷組織に負担をかけず行い、膝関節や股関節・足関節などの可動性・柔軟性の向上、筋肉や靭帯の緊張緩和を行います。回復時期に応じて運動療法や自宅で可能なストレッチ・エクササイズなど個別指導を行うことで、治療効果を高め、再発防止に努めます。

半月版損傷・前十字靭帯・
後十字靭帯損傷・
内側側副靭帯・
外側側副靭帯損傷

膝関節の損傷の中で、スポーツ現場に多くみられる損傷です。

アキレス腱炎・周囲炎・滑液包炎

人体最大の腱と呼ばれるアキレス腱とその周囲の炎症です。

肉離れ

肉離れはどの筋肉でも起こりやすいですが、ダッシュ&ストップの多い競技では、下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)に生じやすく、損傷した組織が修復しきる前にスポーツ復帰をするとさらに状態が悪化してしまいます。

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