手_手外科治療

手外科とは?

手は人間にとって非常に重要な器官であることはお分かりになると思います。様々な作業を行うのみではなく、触ることで多くの情報を得ることができますし、手話など表現の手段など多くの用途があります。
手外科とはこのように人間の生活に密接に関わっている手の怪我や病気を治療する診療科です。
以下に代表的な手の疾患や外傷を記述しました。
治療法には保存的療法と手術療法があります。ここには両者とも記載しましたが当院では手術の設備はないので、手術を希望される患者さんには手術の可能な病院を紹介しています。

手根管症候群

手根管症候群とは?

親指、人差し指、中指、薬指の親指側にしびれ、痛みが出ます。
進行すると親指の付け根の筋肉(母指球筋)が痩せてきてつまみ動作が困難になります。

原因は?

手のひらの知覚を脳に伝える正中神経が手首にある手根管という骨と靭帯に囲まれたトンネルで圧迫されて生じます。

正中神経が手首(手関節)にある手根管というトンネルで圧迫された状態です。
正中神経が手首(手関節)にある手根管というトンネルで圧迫された状態です。

治療は?

まずは手の安静を図ります。手関節を固定するサポーターをつけただけで改善した患者さんもいます。
また鎮痛剤や湿布も処方しますが、これらは症状を抑えているのみで根本的な治療ではありません。
ブロック注射で改善が得られる場合が多いですが、再発の可能性があります。
これらの保存的加療で改善が得られない場合や再発を繰り返す場合、母指球筋の萎縮がある場合には手術をお勧めします。
手術は直視下または内視鏡を用いて手根管の天井を形成している横手根靭帯を切離します。
母指球筋の萎縮がある場合はつまみ動作ができるように手関節を曲げる腱を移行する腱移行術が必要になります。

ばね指(弾発指)

ばね指とは?

指の付け根に痛みや腫れを生じ、進行すると指のバネ現象(弾発)が生じます。バネ現象とは指を曲げたり伸ばしたりする際に腱が腱鞘に引っかかり動かなくなった後に急に動く現象です。悪化すると指を動かすためにもう一方の手で動かす必要がある、また動かした際に指の付け根に痛みが出現するようになることもあります。

原因は?

指の使いすぎなどが原因で腱鞘が腫れたり腱が太くなったりすることにより腱鞘の通過障害が発生し腱鞘炎を起こすと考えられていますが原因がわからない場合もあります。更年期の女性に起こることが多いですが、妊娠時や産後に生じることもあります。また糖尿病や透析患者にも多く発症します。

治療は?

まずは腱鞘炎ですから症状のある指の安静を指示します。症状が強い場合などは腱鞘内にステロイドと局所麻酔薬の注射を行います。注射を繰り返すと腱自体の損傷を起こすことがあると言われているため間隔をあける必要がありますし、回数も2~3回までに抑えるべきです。
安静や注射などの保存的加療を行っても症状の改善が得られない場合や再発を繰り返す場合は手術をお勧めします。手術は局所麻酔下に腱鞘を切開します。

ドケルバン病

ドケルバン病とは?

手首の親指側に腫れと痛みが生じる病気です。1985年にスイスの外科医であるフリッツ・ド・ケルバンによって報告されたためこの名がついた。

原因は?

親指を伸ばす短母指伸筋腱と母指を外側に広げる長母指外転筋腱が通る腱鞘は手首の親指側で同じ腱鞘を通りますが、負担をかけたりして炎症を起こします。
妊娠時、産後や更年期の女性に起こることが多いとされていますが、パソコンなど指を多く使う仕事で生じることもあります。

治療は?

まずは手首や母指の安静を行いますが、生活している以上どうしても動かさざるを得ない場合も多くあります。手首を固定するサポーターを着けて様子を見る場合もあります。
また腱鞘内にステロイドや局所麻酔薬を注射することもあります。症状の改善が得られない場合や再発する場合には注射を繰り返すこともありますが、最低2週の間隔は開ける必要があり、またその回数も2、3回に抑えるべきです。
保存的加療でも痛みが改善しない場合や再発を繰り返す場合には手術を行います。手術は局所麻酔下に腱鞘を切開します。

肘部管症候群

肘部管症候群とは?

初期には小指と薬指の小指側に痺れが出現します。進行すると手の筋肉が痩せてきて小指と薬指がしっかり伸ばせなくなります(鷲手変形)。

肘部管症候群

原因は?

肘の内側で小指や薬指の感覚を脳に伝える尺骨神経が圧迫されて生じます。またこの神経は手の筋肉に脳からの命令を伝える役割があるため肘で圧迫されると手の筋肉に脳からの命令が伝えにくくなるため手の筋肉が痩せて麻痺を生じます。

肘部管症候群

治療は?

まず肘の安静を図りますが、肘を動かさずに生活をすることは不可能であるため難しい場合が多いです。サポーターも効果的なものはありません。
鎮痛剤や湿布などは症状を抑えるのみで神経の圧迫を取り除くものではありません。注射を打つことで神経を圧迫している炎症などが消失することがあります。
保存的加療で効果が得られない場合は手術を行います。肘で神経を圧迫している靭帯を切離します。

へバーデン結節

へバーデン結節とは?

手指の第1関節(DIP関節)が腫れたり曲がったりします。痛みを伴うこともあります。関節の動きも制限され強く握ることが困難になります。
関節の背側に水ぶくれ(ミューカスシスト)ができることがあります。

へバーデン結節
へバーデン結節

原因は?

原因は不明ですが膝と同じように指の第1関節に起きる変形性関節症です。一般に40歳以降の女性に多く発症します。
関節リウマチと区別がつきにくい時があります。

治療は?

最初はテーピングなどで関節を安静にします。
薬物療法は鎮痛剤、湿布などで症状を抑えます。
最近は大豆から作られるエクオールがヘバーデン結節の痛みに効くという報告がありました。薬ではなくサプリメントで少々お値段が高いですが希望者には販売しています。
痛みが強い患者さんには手術を勧めることもあります。手術は変形した関節を切除して固定し動かなくします。痛みは取れますが関節が動かなくなります。
またミューカシストができた場合には小切開で骨棘を切除する方法があります。

母指CM関節症

母指CM関節症とは?

母指CM関節(付け根の関節)が物をつかむ時や瓶のふたを開けるときなどに痛みが出ます。進行すると関節の変形、亜脱臼が目立つようになります。

原因は?

母指の使いすぎや加齢が原因で発症します。脱臼や骨折が原因で発症することもあります。

治療は?

鎮痛剤、湿布を処方します。温熱療法などのリハビリを行います。またバンドで関節を動かしにくくして痛みを抑えます。
 ほとんどの場合には前述した保存的療法で痛みは我慢できる範囲に落ち着きますが、痛みが強い場合や仕事などで安静ができない場合には手術を行います。
手術はCM関節固定術または菱形骨を切除する関節形成術があります。

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