テニスで発生しやすい外傷や障害

テニスで発生しやすい外傷や障害

テニスはノンコンタクトスポーツ(ぶつかり合わない)なので、比較的外傷が少ないスポーツです。その中でもテニスに多くみられる外傷はほとんど下半身(下肢)に見られ、足関節捻挫、ふくらはぎの肉離れ、膝の捻挫、アキレス腱断裂などがあります。障害では、肩関節、肘関節、手関節などの上半身に多く、中でも多く見られるものとして使い過ぎによるテニス肘(外側上顆炎)があげられます。

肘のケガ

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)

テニス肘とは中年期以降のテニス愛好家に多い疾患のためテニス肘と呼ばれています。正式には上腕骨外側上顆炎と言います。
テニスに限らず同じラケットスポーツのバドミントンや卓球など、ゴルフや剣道でも起こりうる疾患です。一般的には、年齢とともに肘の腱が痛んで起こります。病態や原因については十分にはわかっていませんが、主に短橈側手根伸筋という筋肉を酷使すると発生します。 この短橈側手根伸筋は手首を動かす筋肉の1つです。

症状

物をつかんで持ち上げたり、タオルを絞ったり、ペットボトルの蓋を開ける、キーボードを打つ、草抜きをするなどの動作で肘の外側に痛みが生じます。
多くの場合、初期には安静時の痛みはありません。症状が強くなると安静時にも痛みが生じることもあります。

診断

疼痛を誘発するテストで診断します。
下記のいずれの検査でも肘の外側から前腕にかけての痛みが誘発されたらテニス肘(上腕骨外側上顆炎)と診断されます。

Thomsen(トムセン)テスト(手関節伸展テスト)

検者は手首(手関節)を曲げるようにして、患者さんには肘を伸ばしたまま検者の力に抵抗して手首(手関節)を伸ばしてもらいます。

Chair(チェアー)テスト

患者さんに肘を伸ばしたまま手で椅子を持ち上げてもらいます。

中指伸展テスト

検者が中指を上から押さえるのに抵抗して、患者さんに肘を伸ばしたまま中指を伸ばしてもらいます。

治療

大きく分けて保存的療法と手術療法のふたつが治療として挙げられますが、まずは保存療法から始めます。当院ではストレッチ、リラクゼーション、装具の貸し出しを行っております。

保存療法

原因となるスポーツの中止を含めた、患部の安静、ストレッチ、薬物療法、装具着用などがあります。使い過ぎによって起こる症状の為、運動や作業を控え、手首周辺の筋肉のストレッチを行います。
痛みが強い場合は、湿布や外用薬の処方のほかに、肘の外側にステロイド注射を行うこともあります。

手術療法

保存療法を開始してから半年程度で多くの方はよくなりますが、改善しない場合は手術を検討します。手術には筋膜切開術、切除術、前進術、肘関節鏡視下手術などがあります。

手のケガ

TFCC損傷

テニス選手の手関節で、故障が多いのは手首の小指側の部分です。「三角線維軟骨複合体(TFCC)」という靱帯や軟骨のような軟らかい組織でできた部分があります。
TFCC損傷とは、転倒して手をついたり、バトミントンやテニスなど繰り返し手首をねじる動作をしたりして生じる手首の障害です。また、手関節捻挫と呼称される場合もあります。
テニス以外でも、手をついて転んだり、空手や相撲、体操などで手に力が加わったりしても発症します。
発症すると、腕をひねったり手首を小指側に曲げたりすることで、痛みを感じるようになります。(ペットボトルのキャップを開ける、タオルを絞るなどで痛みが出る)

治療

安静、ギプス固定や装具療法、リハビリテーション、圧痛部位へのステロイド注射などの保存療法があります。保存的治療で改善されない場合は手術も検討します。
手術には鏡視下TFCC癒合術や尺骨短縮術などがあります。

足のケガ

足関節捻挫

テニスで発生するケガの部位は足、腕、体幹 の順に多く、足のケガでは足首の捻挫が最も多いと報告されています。
テニスの動作ではサイドからの切り返しや、急激なストップ、バックハンドストロークで前足を接地した際、サーブでの着地時にバランスを崩す、といった場面です。
捻挫することで足首を繋いでいる靭帯が伸びてしまう可能性があります。
そのまま放置しておくと関節の緩さや痛みが残ってしまう可能性があります。

内反捻挫

足首が強制的に内側へ曲げられること(内返し)で、外側の靭帯が伸びて損傷してしまいます。足首が内側へ曲げられている状態(内返し)は足首が最も不安定になる肢位であるため、強い力に耐えることができません。足首をひねる原因は様々な要因があります。アスリートで多くみられるのは、他人の足の上に着地してしまい捻ってしまうケースや、急激に止まろうとした際に勢い余って足首をひねってしまうケースです。
内反捻挫では主に前距腓靭帯の損傷が起こります。外くるぶしを中心とした腫れや痛みがあり、押した時にさらに痛みを強く感じます。程度によっては皮下出血を伴い、体重をかけるのも困難な場合もあります。子供の場合は靭帯が柔らかいため、靭帯が引き伸ばされる時に骨折を伴うことがあります。

内反捻挫で起こる足関節外側靭帯損傷は以下のように分類されます。

  • I度損傷:運動時のみ痛みがある。
  • II度損傷:外側靭帯の部分損傷であり、中等度の痛み、腫脹、皮膚の変色、機能低下とストレステストにより不安定性を認める。
  • III度損傷:外側靭帯の完全断裂であり、腓骨周囲に4cm以上の腫脹、変色、重大な機能低下と可動域低下、不安定性を認める。

治療

急性期では受傷部位を確認し、RICE処置にのっとってスプリント(副木)、包帯、テーピングによる固定、アイシングを行い、患肢挙上により安静を保ちます。
当院では損傷状態を確認し、必要であればテーピング固定を行います。

その他の足部靱帯損傷

リスフラン関節靱帯損傷

前脛腓靱帯損傷

膝関節損傷

ダッシュ&&ストップや体全体でボールにパワーを伝える為に膝の腰の回旋を利用し足の踏ん張りをきかせながらラケットを降る為、膝へのストレスが多く、ケガの発生率も高いといえます。損傷場所に応じてリハビリテーションや回復期間も異なるため、正しい知識とケガを知りましょう。
膝半月板損傷・膝前十字・後十字靭帯損傷・膝内側側副靭帯損傷・膝外側側副靭帯損傷

肉離れ

肉離れは、筋繊維の部分断裂のことです。筋肉が伸長されている状態から急激な収縮が働く際に筋肉の線維が引きちぎられることで生じます。
ダッシュ&ストップなどの瞬発的な負荷でよくみられます。普段使っていない筋肉を急に使ったり、筋疲労が抜けていなかったり、筋肉の柔軟性が低下している状態などで受傷することが多いです。

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