手_橈骨遠位端骨折

橈骨遠位端骨折

橈骨遠位端骨折は、前腕の橈骨が手関節に近い部位(遠位端)で骨折するもので、転倒して手をついた際に生じることが多く、高齢者における四大骨折(大腿骨頸部、橈骨遠位端、脊椎、上腕骨近位端骨折)の一つです。特に骨粗鬆症のある高齢女性に好発し、男性の約3倍の頻度でみられます。また、橈骨遠位端骨折は全身の骨折の中でも最も頻度が高い部類に入ります。

 

(日本手外科学会HPより引用)

原因・好発年齢

  • 高齢者(特に70~80代女性)では、骨粗鬆症によって骨が脆弱化し、軽微な外力でも骨折を生じやすくなります。
  • 若年者や成人男性では、交通外傷や高所からの転落、スポーツ外傷など、高エネルギー外傷により発症することが多いです。
  • 小児では、若木骨折(骨の一部に亀裂が入って曲がっている骨折)がみられます。

骨折型の分類

橈骨遠位端骨折は骨折様式によりいくつかに分類されます。

コレス骨折

最も頻度が高く、手関節背屈位で手をついた際に発生。遠位骨片が背側に転位し、「フォーク状変形」を呈します。

 

(日本手外科学会HPより引用)

 

スミス骨折

手関節掌屈位での受傷により発生し、遠位骨片が掌側に転位します。

バートン骨折

関節内骨折で、遠位骨片が手根骨とともに背側あるいは掌側に転位します。整復保持が困難な事が多く手術になりやすい骨折です。

症状

  • 手関節部の疼痛・腫脹・可動域制限
  • 変形(コレス骨折ではフォーク状変形)
  • 正中神経障害を伴う場合、母指~環指橈側のしびれや感覚障害
  • 重度の転位や骨片の突出がある場合、循環障害をきたすこともあります。

診断

  • 基本はX線(レントゲン)検査で骨折線、転位の有無、橈骨短縮、関節面の傾斜や段差などを評価します。
  • 必要に応じてCT検査により関節内骨折や粉砕の程度を詳細に確認。

治療法

手術療法

  • 転位が強く、整復保持が困難な場合や関節内骨折では手術適応
  • 主な術式には以下があります:
    • 掌側ロッキングプレート固定(現在最も一般的)
    • 経皮的鋼線固定(K-wire)
    • 創外固定
  • 骨粗鬆症がある場合、再骨折のリスク管理も重要です。

保存療法

  • 転位が軽度、または整復後に良好な位置が保持できる場合は徒手整復+ギプス固定
  • 局所麻酔(静脈麻酔または腕神経叢ブロック)下に整復操作を行います。
  • 骨折型によって固定肢位と固定する範囲を決定します。
  • 固定期間中は、浮腫・拘縮予防のための運動療法が重要です。

合併症

  • 正中神経麻痺・手根管症候群(骨片や腫脹による圧迫)
  • 伸筋腱断裂(特に長母指伸筋腱)
  • 屈筋腱断裂(プレートによる摩耗)
  • 尺骨突き上げ症候群(橈骨短縮に伴う)
  • 複合性局所疼痛症候群(CRPS):強い疼痛、浮腫、発汗異常、可動域制限を伴う難治性疾患

リハビリテーション

外固定中

非固定部位(肩・指)の可動域訓練と良肢位保持が重要。

固定除去後

手関節・肘関節の可動域訓練、前腕回内外訓練、筋力増強訓練を段階的に実施。

術後リハビリ

プレート固定などの場合、術翌日から可動域訓練を開始することが多く、固定期間は保存療法より短縮されます。

骨折をしないための対策

①骨粗鬆症の予防と治療

現段階で骨粗鬆症ではなくても骨密度は年齢とともに下がりますので日頃から食事内容を意識することが大切です。詳細は当院の骨粗鬆症ページをご覧ください。

②転倒しにくい環境づくり

家の中はなるべくバリアフリーな環境を作りすることが大切です。手すりの設置や家具の配置転換も必要に応じて検討する必要があります。転倒しそうになった時に何かにすぐ手をつくことができる、つかまることができるという環境作りも大切になります。 外出時にはスリッパなどは避け、なるべく履きなれた靴を履いたり、杖やシルバーカーなどを使うようにすることが必要です。

③運動

日頃からウォーキングや体操などを行うことで骨粗鬆症や筋力低下の予防になります。

④定期的な検査

骨粗鬆症と診断されていなくても60歳以降の方は定期的(年1回)に検査を行うことをお勧めします。当院でも腰椎・大腿骨を用いた骨塩定量DXAを行っています。希望の方はスタッフに声をかけて下さい。

まとめ

橈骨遠位端骨折は発症頻度が高いものの、早期診断と適切な治療、リハビリテーションにより良好な機能回復が期待できる骨折です。
一方で、高齢者では骨粗鬆症の管理と併せて、再発防止のための全身的な評価とケアが求められます。

転倒して手をついた等、手を痛めた場合は、できるだけ早めにご受診ください。

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