股関節_変形性股関節症

変形性股関節症

変形性股関節症は股関節が変形し、痛みや歩行障害などが起きる病気で女性に多く見られます。現在、日本国内には100万人以上の患者さんがいると言われています。変形性股関節症は原因が明らかではない一次性と原因が明らかな二次性があります。

原因

一次性…
股関節の構造に問題はなく長年使い続けることで少しずつ軟骨がすり減っていきます。主に肥満や股関節に負担のかかるスポーツや肉体労働などによる影響で発症します。
二次性…
生まれつきの股関節異常や特定の病気などの影響で発症します。特に先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全症の後遺症として発症することが多いです。
日本整形外科学会より引用

診断方法

変形性股関節症の診断は主に問診とレントゲン検査で行います。痛みの強さや持続時間、いつから痛みがでているか、どういう時に痛みが出るかなどの問診と関節の動きを確認します。股関節の軟骨のすり減り具合や変形の状態などはレントゲン検査で確認します。
軟骨自体はレントゲンには写りませんが、臼蓋と骨頭の隙間ですり減り具合を判断できます。また関節の中や周囲に骨棘と呼ばれる異常な骨形成や骨嚢胞と呼ばれる骨の空洞の有無などから進行具合も分かります。

治療方法

変形性股関節症の治療はまず保存療法として、薬物療法やリハビリテーションにて症状の緩和を図ります。症状の強さや変形の進行具合にもよりますが、いきなり手術を行うということはほとんどありません。

◎薬物療法

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS:ロキソニンなど)の内服薬や経皮鎮痛消炎剤(湿布・ぬり薬・ローションなど)を処方します。

◎リハビリテーション

強い痛みがある場合はまず安静が必要となりますが、長時間動かさずにいると筋肉が硬くなったり、筋力が衰えたりしてしまいます。また股関節の動きが悪くなると、軟骨に栄養を与える関節液がうまく行き渡らず、さらに軟骨の状態も悪くなってしまいます。強い痛みが少し落ち着いてきたら状態に合わせた関節可動域訓練・筋力訓練やストレッチなどを行っていきます。その中でも特に筋力訓練が大切となります。ももやお尻、腹筋などの股関節周囲を鍛えることで股関節への負担を軽減する事ができます。他にも水中歩行や自転車など股関節に体重のかからない運動も行えると良いです。
また変形の影響による脚長差がある場合は足底板(補高装具)を入れて調節します。
その他にも体重のコントロールをする、跳んだりする運動を控える、杖をつく、長時間の歩行を控えるなどの生活指導も行います。

◎手術療法

薬物療法やリハビリテーションを行ってもあまり改善効果が得られず、日常生活を強い痛みにより大きく活動制限される場合は手術の検討が必要です。
手術の多くは傷んだ骨の一部を取り除き、人工の関節に置き換える人工関節置換術という方法で行います。
人工股関節置換術は骨盤の臼蓋に取り付けるソケットと呼ばれる部分と、大腿骨内に挿入するステムと呼ばれる部分から構成されます。これらの人工股関節の部品を骨に固定する方法として骨セメントと呼ばれる樹脂を用いる方法(セメント人工股関節)と骨セメントを使用せず、金属表面を加工し骨へ直接固定する方法(セメントレス人工股関節)があります。またソケットのみセメントレスで固定し、ステムを骨セメントで固定する方法が行われることもあります。
人工股関節は長い年月が経過すると緩みが生じ、再置換の手術が必要な場合があります。一般的に20年が経過すると約60%の患者さんで緩みが生じ、その中で約半数の患者さんが再置換術を受けているとの報告があります。術後は長時間歩いても問題はありませんが、階段昇降や床からの立ち上がり動作を多く行うと人工股関節に負担がかかるので注意が必要です。

日本整形外科学会より引用
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